2014.9.26 (金) | カテゴリ:
お知らせ
映画監督鴨田好史 一周忌
鴨田好史レトロスペクティブ in 京都
とほくまでゆくんだ――。

✿9月28日[日]16:10- / 9月30日[火]19:50- / 10月3日[金]19:50- |
©日活 |
ドキュメント・ポルノ 屋台売春 ※ニュープリント 1982年/カラー/58分/日活/35mm 監督:鴨田好史 脚本:大沢治/鴨田好史 出演:吉沢由起/麻生うさぎ/鶴岡修/港雄一
鴨田がこの時期立て続けに手がけた「ドキュメント」シリーズの一篇で、プロ鷹製作によるロマンポルノ買取作品。大都会新宿の夜に生きる女の愛と性を描いた鴨田の代表作。
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✿9月27日[土]16:10- |
©日活 |
恋人たちは濡れた 1973年/カラー/76分/日活/35mm 監督:神代辰巳/脚本:神代辰巳、鴨田好史/出演:中川梨絵、大江徹、堀弘一、絵沢萌子、高橋明
ある街に流れ着いた男が、カップルと出会い、束の間の生を取り戻すが…。鴨田がはじめて脚本を手がけた作品であり、彼の「放浪」と「青春」のモチーフはすでにここに原石のように輝いている。故・神代辰巳が最も愛した自作。
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✿9月29日[月]19:50- |
©日活 |
濡れた欲情 特出し21人 1974年/カラー/77分/日活/35mm 監督:神代辰巳/脚本:神代辰巳、鴨田好史/出演:片桐夕子、芹明香、古川義範、絵沢萌子、外波山文明
スケコマシにカモられた女たちが、その男をそっちのけにして、ストリップ興行の旅から旅へ…。映画の時間的整序が大胆に解体され、全篇にうたが横溢することで、明るさに満ちた共同体的祝祭のドラマが現出する屈指の名作。
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✿10月1日[水]19:50- 【2本立て上映】 |

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路上 1996年/カラー/42分/銀幕工場/16mm 監督:鴨田好史 原案:階G子 出演:階G子、華園カノン、大森順子、藤原吟次郎、ハル、木屋町極道(横田直寿)
新宿ゴールデン街のバーからふらりと路上に歩み出た「男」。彼は新宿の街を彷徨いながら、ホームレス、ダンサー、ミュージシャンなど路上に生きる様々な人々に出会い、彼らとともに、海辺の砂浜へと至る。鴨田の映画詩。
京極真珠 1997年/カラー/60分/銀幕工場/16mm 監督:佐藤訪米 脚本:佐藤訪米/野口博司 プロデューサー:鴨田好史、松井良彦 出演:豊田奈千甫、葉月螢、星野建一郎、渡辺智江、芥正彦
京都・祇園のビルに住む珠子と鏡子。姿を消した鏡子を探しに出た珠子は、八百比丘尼伝説を語る托鉢僧に導かれ、幻想の空間へと迷い込んでいく。京都の自主映画史においても重要な一篇。
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✿10月2日[木]19:50- |
精霊たちの祭(改題:どんぐり翔んだ) 1979年/カラー/60分/銀幕工場/16mm 監督:鴨田好史 脚本:高平忍/鴨田好史 出演:どんぐりコール/河西健司/阪脩
鴨田の記念すべき監督デビュー作。西宮市で結成された青少年劇団「どんぐりコール」の少年少女たちが、街の中で軽やかな歌声を響かせるミュージカル児童映画で、関西各所でロケーションされた。精霊としての子供たちが醸し出す祝祭性は、この作品を鴨田版『操行ゼロ』と呼ばせるにふさわしい。
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✿9月28日[日]『屋台売春』上映後 |
遠くまで行くんだ 終着点だろうか!(予告篇) 2013年/カラー/30分/DVD 編集:安田哲/木村健二
京大西部講堂における若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007年)上映会の記録。
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✿10月3日[金]『屋台売春』上映後 |
追悼・鴨田好史 2013年/カラー/22分/DVD 監督:友利栄太郎
故郷・愛媛県新居浜に暮らす鴨田を訪ねた監督は、鴨田が吐露する映画への思いを映像におさめる。
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【トーク・ゲスト】
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✿9月27日[土]16:10-『恋人たちは濡れた』上映後 |
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白鳥あかね
スクリプター、脚本家。斎藤武市、神代辰巳、根岸吉太郎など、数多くの監督の現場を支える。神代組では鴨田とともに仕事をした。自著『スクリプターはストリッパーではありません』(国書刊行会、2014年)の刊行にあわせ、ラピュタ阿佐ヶ谷で行われた特集上映も記憶に新しい。今年、第37回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。
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根岸吉太郎
映画監督、東北芸術工科大学学長。1978年、『オリオンの殺意より 情事の方程式』でデビュー。映画賞を総なめにした『遠雷』(1981年)、東京国際映画祭四冠に輝いた『雪に願うこと』(2006年)など、名作多数。2010年、紫綬褒章を受賞。日活入社以来、鴨田とは30年にわたる付き合いだった。
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✿9月30日[火]19:50-『ドキュメント・ポルノ 屋台売春』上映後 |
寺脇研
映画評論家、映画プロデューサー、京都造形芸術大学教授。個人ミニコミ『B級映画評論家通信』を通じて、鴨田を含め、80年代以降のにっかつロマンポルノを担った若手監督に伴走。近著に『ロマンポルノの時代』(光文社新書、2012年)がある。
吉沢由起
女優。1978年、『トルコ110番 悶絶くらげ』でロマンポルノデビューし、その後、『ズームアップ 暴行現場』(1979年)、『女新入社員 5時から9時まで』(1982年)などに出演。森田芳光のデビュー作『の・ようなもの』(1981年)では、真打ちに昇進する落語家の妻を好演。鴨田作品には、『屋台売春』の他、『未亡人アパート 娘もよろしく』(1982年)に主演している。
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✿10月1日[水]19:50-『路上』『京極真珠』上映後 |
佐藤訪米
映画監督。1987年から京都を拠点に8mm映画の制作をはじめる。『路上』の京都上映では宣伝を担当。鴨田のVシネマ『極妻のエロス 愛欲の生態』(1996年)、『聖少女 濡れた花園』(1997年)で助監督を務め、鴨田と松井良彦の製作により、『京極真珠』を監督。
横田直寿
京都のジャズ・バー「JAZZ IN ろくでなし」店主。鴨田の京都滞在時の拠点はこの「ろくでなし」であった。自らが被写体となった、園部典子監督のドキュメンタリー『ろくでなし』(2006年)の他、いまおかしんじ監督『たそがれ』(2007年)などに出演。
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※やむを得ぬ事情により、ゲストが変更になる可能性があります。 ※プリントの劣化によって、お見苦しい箇所がございます。予めご了承ください。 ※上映分数は、記載のものと異なることがあります
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鴨田好史(かもだ・よしふみ) 1946年5月10日愛媛県生まれ。早稲田大学在学中に、日活撮影所にもぐりこみ、師である神代辰巳をはじめ、田中登、小沼勝らの助監督を務める。青少年によるミュージカル劇団として1967年に結成された「どんぐりコール」が製作母体になった『精霊たちの祭』(1979年)でデビュー。1981年、にっかつロマンポルノ作品(ただし、外部製作の買い取り作品)として、『密室ドキュメント 指と舌』を監督し、立て続けに「ドキュメント」シリーズを撮り上げる。80年代半ば以降、再び神代辰巳の助監督を務めるとともに、プロデュースも兼任した神代の遺作『インモラル・淫らな関係』(1995年)の残フィルムを使って、実験的な短篇『路上』(1996年)を監督した。同時期に、Vシネマを数本手がけるが、並行して、Vシネマ作品で助監督を務めた、京都のインディペンデント作家佐藤訪米の『京極真珠』(1997年)をプロデュース。その後、故郷に戻り、新作の企画を抱えながら、自給自足の生活を続けた。2013年9月末永眠。 |
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▼企画意図
映画監督鴨田好史は、日活の契約助監督として、日活ロマンポルノの最盛期を支えてきました。とりわけ、神代辰巳監督の傑作群のほとんどでチーフ助監督を務め、神代自身が深い思い入れを生涯にわたって語った『恋人たちは濡れた』(1973年)や、神代のフィルモグラフィの中でも異形の名作として名高い『濡れた欲情 特出し21人』(1974年)などの脚本も執筆しています。 しかし、鴨田は日活で一本立ちすることなく、自主映画として制作した『精霊たちの祭』(1979年)がはじめての監督作品になりました。上映会場の確保にすら苦労したその作品の後で、80年代前半にはロマンポルノ(ただし、ピンク映画のプロダクションの製作による日活買い取り作品)を量産するものの、再び神代組の助監督になります。そして、神代の遺作となった『インモラル・淫らな関係』(1995年)でプロデューサー兼チーフ助監督を務めた後、その残フィルムで、短篇『路上』を監督しました。その後、Vシネマで数本を撮り上げましたが、1997年の『聖少女 濡れた花園』を最後に、映画を監督する機会はありませんでした。鴨田は長く、自らの青春を投影した『遠くまで行くんだ』という作品の企画を温めていましたが、結局、この作品も、鴨田の手で映画化されることはありませんでした。 行く先が定かならず、酒とともに無頼の生を送りながら、映画への熱情だけは決して失うことのなかった鴨田のもとには、若き相米慎二や根岸吉太郎ら、多くの映画人が集いました。ここ京都にも、彼を慕い、彼とともに映画を作った人たちがいます。 一周忌を機に、再上映されることのほとんどなかった鴨田の作品を、ここ京都で回顧上映し、多くのゲストを交えて、彼の映画への熱情を改めて確認したいと思います。
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《鴨田好史フィルモグラフィ》
【監督作品】
精霊たちの祭(1979年)
密室ドキュメント 指と舌(1981年)
ドキュメント・ポルノ 指いじめ(1981年)
ドキュメント・ポルノ 屋台売春(1982年)
未亡人アパート 娘もよろしく(1982年)
タクシー・ドライバー 白昼の陶酔(1983年)
変態バスト 暴行性奴隷(1983年)
もっともっと愛を(1984年)
日本女刑罰史(1995年/のちに改題して『女囚拷問責め』1998年)
路上(1996年)
極妻のエロス 愛欲の生態(1996年)
聖少女 濡れた花園(1997年)
女囚拷問責め(1998年)
【脚本作品】
恋人たちは濡れた(1973年/監督:神代辰巳)
濡れた欲情 特出し21人(1974年/監督:神代辰巳)
壇の浦夜枕合戦記(1977年/監督:神代辰巳)
【製作作品】
インモラル・淫らな関係(1995年/監督:神代辰巳)
京極真珠(1997年/監督:佐藤訪米)
入場料 各回一般1,300円/シニア1,100円/学生・会員1,000円(当日券のみ)
※特別興行のため、招待券・ポイント満了カードはご利用いただけません。各種サービスデイ(マンデイ・ペア割引・ファーストデイ)割引も対象外となります。予めご了承くださいませ。
企画 ベンゲット・リターンズ