2012.9.01 (土) | カテゴリ:
お知らせ
8/25(土) ~9/7(金)
日活創立100周年記念 特別企画
蓮實重彦 山田宏一 山根貞男が選ぶ愛の革命
生きつづけるロマンポルノ
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1971年、日活が新たなブランド「日活ロマンポルノ」の製作開始を発表、映画界に一大センセーションを巻き起こした。斜陽期にあった映画業界の中で「映画の火を消さない」ためのチャレンジと大いなる決断だった。当時、既に存在していたピンク映画と違い、伝統のスタジオシステムと一流のスタッフに支えられた若手クリエイターたちが、一定条件を満たせば自由に作れる映画がロマンポルノだった。この現場から多くのプロデューサー、監督、スタッフ、俳優が排出された。路線終了の88年までの17年間に瑞々しいエネルギーに満ちた作品約1,100本が公開され、美しい女性像を描き続けた。リアルタイムで作品に接し、批評し続けてきた蓮實重彦、山田宏一、山根貞男が3名ともに選び抜いた12タイトル(うち7本をニュープリント上映)、『ラブホテル』、28年間もの間封印されてきた曽根中生監督の幻の作品『白昼の女狩り』を一挙上映いたします。
全作品35mmプリント上映 ★印の作品はニュープリントでの上映
【料金】 一般当日/1,500円 学生・会員・シニア/1,000円 3回券/3,600円
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【タイムテーブル】

【上映作品】
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★『㊙女郎市場』 1972年/日本/70分/日活/R18+ 監督:曾根中生 脚本:田中陽造 出演:片桐夕子/益富信孝/加納愛子/五條博/あべ聖
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江戸、文化大政の頃、純真無垢な、少々頭の足りない女郎を中心に、当時の女郎たちと女衒と楼の風俗を描く。原作は荒木一郎の『風流宿場女郎日記』の映画化。脚本は田中陽造、監督は「怪談牡丹燈籠」の曽根中生、撮影も同作の高村倉太郎がそれぞれ担当。 |
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『㊙色情めす市場』 1974年/日本/83分/日活/ R18+ 監督:田中登 脚本:いどあきお 出演:芹明香/花柳幻舟/夢村四郎/岡本彰/宮下順子/萩原朔美 |
大阪の旧赤線地帯に春をひさぐ売春婦たちの、哀れにもドロドロとした生きざまを描く。脚本は「狂棲時代」のいど・あきお、監督は「真夜中の妖精」の田中登、撮影は「実録桐かおる -にっぽん一のレスビアン-」の安藤庄平がそれぞれ担当。 |
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★『一条さゆり 濡れた欲情』 1972年/日本/69分/日活/R18+ 監督、脚本:神代辰巳 出演:一条さゆり/伊佐山ひろ子/白川和子/粟津號/高橋明
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1972年に引退した関西ストリップの女王・一条さゆりと彼女に対抗意識を燃やす新人ストリッパーとのドラマで、劇中一条さゆりのおハコともいうべき“花笠お竜”“緋牡丹お竜”“ローソクショー”などを披露。なお、引退興業で逮捕された上演場面も再現する。脚本・監督「濡れた唇」の神代辰巳、撮影は「白い指の戯れ」の姫田真佐久。 |
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★『生贄夫人』 1974年/日本/71分/日活/R18+ 監督:小沼勝 脚本:田中陽造 出演:谷ナオミ/東てる美/坂本長利/影山英俊
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異常なセックスの数々を描写するS・Mシリーズ二作目。脚本は「秘本袖と袖」の田中陽造、監督は「花と蛇」の小沼勝、撮影は「くノ一淫法 百花卍がらみ」の森勝がそれぞれ担当。 |
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『濡れた荒野を走れ』 1973年/日本/73分/日活/R18+ 監督:沢田幸弘 脚本:長谷川和彦 出演:地井武男/山科ゆり/川村真樹/井上博一/高橋明/久松洪介
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表向きは警察だが裏では強盗団という秘密組織を描き、権力の二面性を鋭く抉った問題作。脚本は長谷川和彦、監督は「反逆の報酬」の沢田幸弘、撮影は「雨の夜の情事」の山崎善弘がそれぞれ担当。 |
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『白い指の戯れ』 1972年/日本/75分/日活/R18+ 監督、脚本:村川透 共同脚本:神代辰巳 出演:荒木一郎/伊佐山ひろ子/谷本一/石堂洋子/五條博
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「最も危険な遊戯」「野獣死すべし」の村川透の監督デビュー作。日活ロマンポルノながら、アメリカン・ニューシネマの影響を感じさせる浮遊感と哀切を見事に描いた作品として高い評価を受けた青春群像ドラマ。これがデビューとなる伊佐山ひろ子が独特の喋り方をしてなんとも魅力的。19歳のゆきは街で知り合ったばかりの二郎に処女を捧げる。 |
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★『恋人たちは濡れた』 1973年/日本/76分/日活/R18+ 監督、脚本:神代辰巳 共同脚本:鴨田好史 出演:中川梨絵/絵沢萠子/薊千露/大江徹/堀弘一/清水国雄
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「一条さゆり 濡れた欲情」がヒットした神代辰巳が監督と脚本を担当。他に脚本は鴨田好史も担当している。撮影は姫田真佐久が務めた。故郷に戻った青年の暗い心の内を映し出す青春官能作品。 |
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『花芯の刺青 熟れた壺』 1976年/日本/74分/日活/R18+ 監督:小沼勝 脚本: 松岡清治 出演:谷ナオミ/北川たか子/中丸信/花柳幻舟/蟹江敬三/長弘
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伝統的で古風な世界に育ってきた女と、ドライで現代的な義理の娘の二人が、一人の男をはさんで織りなす凄艶な肉欲の執念を描く官能篇。脚本は「犯す!」の松岡清治、監督は「犯される」の小沼勝、撮影は「真夏の夜の情事 悶え」の森勝がそれぞれ担当。
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『人妻集団暴行致死事件』 1978年/日本/96分/日活/R18+ 監督:田中登 原作:長部日出雄 脚本:佐治乾 出演: 室田日出男/黒沢のり子/酒井昭/深見博/古尾谷康雅/志方亜紀子
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目をかけてやっていた若者たちに妻を強姦の末ショック死させられた男の姿を描く。20歳そこそこの青年3人組。何ごとにも中途半端でブラブラしているはみ出し者。ある日、3人は養鶏場から卵を盗み逮捕される。翌日3人は釈放されるが、養鶏場の主・泰造はそんな彼らに昔の自分を思い浮かべ、やがて毎晩のように飲み歩く仲となる……。 |
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★『赫い髪の女』 1979年/日本/73分/日活/R18+ 監督: 神代辰巳 原作: 中上健次『赫髪』 脚本: 荒井晴彦 出演: 宮下順子/阿藤快/亜湖/石橋蓮司/三谷昇/山口美也子
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中上健次の小説を神代辰巳監督が映画化したにっかつロマンポルノの名作。ダンプカーを運転する男と道で拾った赫い髪の女との、性愛の日々を描き、閉塞した時代性と男女の性の真髄に迫る。ある日、ダンプカーの運転手・光造は道でカップめんをすする赫い髪の女を拾う。女はそのまま光造の部屋に転がり込み、ふたりは来る日も来る日もひたすらセックスを繰り返す。女は過去を語らず、光造も何も聞かない……。
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★『おんなの細道 濡れた海峡』 1980年/日本/71分/日活/R18+ 監督:武田一成 原作:田中小実昌 脚本:田中陽造 出演: 桐谷夏子/山口美也子/小川恵/三上寛/草薙幸二郎/石橋蓮司/田山涼成
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ストリッパーの女を愛する小心な男と、彼をとりまく女たちを描く。田中小実昌の原作『島子とオレ』と『オホーツク妻』を合せて映画化したもので、脚本は「夢一族ザ・らいばる」の田中陽造、監督は「ひと夏の秘密」の武田一成、撮影は「修道女 黒衣の中のうずき」の前田米造がそれぞれ担当。 |
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★『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』 1980年/日本/69分/日活/R18+ 監督:小沼勝 脚本:小水一男 出演:風祭ゆき/高原リカ/佐々木美子/宇南山宏/佐藤秀美/錆堂連/草薙良一
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平穏な毎日に飽きたらなくなった夫婦が、異常な刺激を求めていく愛欲の生活を描く。脚本は小水一男、監督は「山の手夫人 性愛の日々」の小沼勝、撮影は「宇能鴻一郎の浮気日記」の森勝がそれぞれ担当。
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★『ラブホテル』 1985年/日本/88分/日活/R18+ 監督:相米慎二 脚本:石井隆 出演:速水典子/寺田農/志水季里子/益富信孝/尾美としのり/佐藤浩市/伊武雅刀/木之元亮/萬田久子
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石井隆が脚本を担当し相米慎二が監督した、にっかつロマンポルノ。得意の長回しと、BGMに歌謡曲を使用したセンスが光る。妻を犯され人生に絶望した村木は、ホテトル嬢の名美をホテルでいたぶりながら、彼女の魅力に惹かれていた。二年後、タクシーの運転手となった村木は、客として乗ってきた名美と再会する。目的地である海で名美は海中に入っていこうとするが、村木に止められる。名美は会社の上司である太田と不倫関係にあったが、村木には太田というヤクザに脅されていると嘘をつき、自分の写真や履歴書を取り返してほしいと頼んだ。 |
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★【本邦初公開】『白昼の女狩り』 1984年/日本/66分/日活/R18+ 監督:曾根中生 脚本:森下馨 出演:加来見由佳/なぎら健壱/由利ひとみ/織本かおる/深見博
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曾根中生監督がメガホンをとりながらお蔵入りしていた幻の作品「白昼の女狩り」(1984)が、初めて劇場公開されることになった。日活創立100周年を記念し行われる「日活ロマンポルノ」特集上映と、消息が途絶えていた曾根監督が昨年、20数年ぶりに公の場に姿を現したことを機に、満を持して公開される。 |
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★『天使のはらわた 赤い教室』 1979年/日本/79分/日活/R18+ 監督:曾根中生 出演:水原ゆう紀/蟹江敬三/あきじゅん/水島美奈子/堀礼文/河西健司/草薙良一/佐藤恵子
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週刊ヤングコミックに連載されていた石井隆の「天使のはらわた」が原作。前作の「女高生 天使のはらわた」に続くシリーズの二作目となる。脚本は石井隆と曽根中生の共同執筆で、曽根が監督も務めた。乱暴された現場が映像となったために転落の人生を歩む女を描く。 |
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◆9/4(火)関連イベント開催!! |
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詳細は当館&Loki ACADEMICA HPで近日発表致します!
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