『苦海浄土』+『あいラブ優ちゃん』【二本立て】11/11・18・23 |
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『苦海浄土』 1970年/49分 ★第25回文化庁芸術祭大賞
「自分の親に、子供に、妻に、水銀を飲ませて見ろ。そうすればこの地獄が分かる」――石牟礼道子の同名小説を原作に、不知火海の漁業で生きてきた人々の海への愛と懸命に生きる姿を描き出す。北林谷栄ふんする琵琶瞽女(ごぜ)が町を彷徨い、水俣病患者や遺族に寄り添うという木村の演出は虚実のあわいから観る者全ての胸を撃つ。
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『あいラブ優ちゃん』 1976 年/48分 ★第14回放送批評懇談会ギャラクシー賞大賞
主人公は先天的な障がいを持つ自身の長女・優ちゃん。愛娘への想いとともに木村が生きた世界の豊かさをも結晶させた伝説的なエーブン流セルフドキュメンタリー。自ら担当したナレーション曰く、「足の悪い優は、かけっこではいつもドン尻です。でも、おてんとうさまはこの子に天性の明るい気質を授けてくれたと思います」。
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『飛べやオガチ』+『いまは冬』【二本立て】11/19・22 |
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『飛べやオガチ』 1970年/57分 ★第14回放送批評懇談会ギャラクシー賞期間選奨
玄界灘の孤島に生きる海鳥・オガチは巨大な翼ゆえ地上からは飛び立てない。恨めしく空を見上げ梢をよじ登るが、ときに足を踏み外し命尽きることも……人力飛行機という果てなき夢を追い続ける前田建一の狂気にも似た老体の執念とオガチの羽ばたきがシンクロする。“男のロマン”と呼ぶにはあまりに不器用な男の挑戦と生涯を追う。
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『いまは冬』 1972 年/35分 語り:中村靖
詩人、クリスチャンであり、貧しい人が自由に使える鍵の無い募金箱を全国に設置する「地の塩の箱」基金運動主催者の江口榛一。活動の衰退、娘の自殺、妻の病…孤独を深めていく中、千葉県の団地で木刀を振り回す姿は理想の社会を求め闘う侍のごとし。ちなみに、三里塚闘争の空港建設反対派、推進派ともに彼の賛同者であった。
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『鉛の霧』+『まっくら』【二本立て】11/10・17・20 |
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『鉛の霧』 1974年/41分 ★第1回放送文化基金賞テレビドキュメンタリー番組本賞 ★1974年日本民間放送連盟賞最優秀賞
鉛を精製する小さな工場を営む北島社長。社長含め従業員ほぼ全員が鉛中毒に冒されながら働く様が報道される。しかしこのルポが取引先の逆鱗に触れ、会社は倒産に追いやられる。窮地に立たされた北島社長。木村は北島の妻から「ジャーナリズムなんて大嫌い」と罵られながらも、北島のその後をどこまでも追いかけ続ける。
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『まっくら』 1973年/48分 出演:常田富士男、白石加代子
筑豊のボタ山にヘリコプターで舞い降りる不躾なレポーター役(木村栄文)は、炭鉱夫(常田富士雄)に痔の話で煙に巻かれ、炭鉱の女(白石加代子)には川へ放り込まれる。度重なる事故で7000人以上が殉職した筑豊炭鉱、それでも働く人々にとってそれは生きる力そのものだった。失われていくものへの木村の愛が滲む傑作。
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『絵描きと戦争』11/13・20 |
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1981年/92分 ★第36回文化庁芸術祭優秀賞 他
太平洋戦争の時代を芸術家たちはどのように過ごしたのか? 九州筑後の片田舎でひっそりと農作物や牛ばかりを描き続けた坂本繁二郎と、数々の戦争画の大作を残し、戦後は日本を追われた藤田嗣治。二人の画家の対照的な生き方を中心に、戦争が芸術に与える影響を考察しながら、時代に翻弄される人間の運命を浮き彫りにする。
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『むかし男ありけり』11/16・18・21 |
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1984年/85分 ナレーター:白坂道子 出演:高倉健 ★第39回文化庁芸術祭優秀賞 ★第22回放送批評懇談会ギャラクシー賞月間賞 他
“最後の無頼派作家”と呼ばれた男の素顔とは? 作家・檀一雄の晩年の足どりを俳優・高倉健が追う。日本での母、妻、愛人たちとの愛憎の日々とは対照的に、異国の地ポルトガル・サンタクルスでは土地の人々から慕われ、穏やかな時を過ごしたことが明かされる。健さん、木村が並んで男を試される愛人との対面シーンはスリル満点。
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『桜吹雪のホームラン~証言・天才打者大下弘~』11/15・21 |
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1989年/81分 ★1989年日本民間放送連盟賞最優秀賞 ★第26回放送批評懇談会ギャラクシー賞奨励賞 敗戦直後の日本プロ野球界が生んだホームランキング。“野武士軍団”西鉄ライオンズの主砲、大下弘。その生き様、光と影を往年の名選手や教え子たちの証言で彫り上げる。フォークボールがまだ“魔球”だった時代の英雄譚には、戦友たちが語る「伝説」こそ相応しいと言わんばかりの粋な演出に野球ファンならずとも泣き笑う。 |
『記者ありき 六鼓・菊竹淳』11/17・23 |
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1977年/86分 出演:三國連太郎 化基金テレビドキュメンタリー番組 番組賞 ★1977年度週刊テレビガイドテレビ大賞優秀番組賞 他
五・一五事件の後、大手新聞社が軒並み軍部支持を掲げる中、ファシズムを痛烈に批判し続けた新聞記者・菊竹淳。三國連太郎が菊竹を演じるのだが、再現ドラマと呼ぶにはあまりにもアヴァンギャルド。ジャーナリズムのあり方といったテーマを超えて、木村=三國コンビは、狂気にも似た“淳しゃん”の自由への情熱に迫る。必見!
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『鳳仙花 ~近く遥かな歌声~』11/14・22 |
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1980年/72分 ★第35回文化庁芸術祭大賞
朝鮮動乱の最中、人々を支えたのはそうとは知らず響いた日本のメロディだった。それは終戦後「ポンチャック」に姿を変え、今なお歌い継がれている。美空ひばりや韓国国民的歌手、文化人らへの膨大なインタビューと歌唱で展開する日本と韓国・朝鮮の近現代関係史論。木村のときには酒を交えながらの体当たりの取材が冴え渡る。
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『記者それぞれの夏 ~紙面に映す日米戦争~』11/12・19 |
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1990年/81分 ★第6回文化庁芸術作品賞
太平洋戦争時、日本とアメリカの新聞はそれぞれ戦争をどう伝えたのか。両国の当時の記者への貴重なインタビューに加え、ワシントン州のとある島のローカル新聞の発行人と、毎日新聞西部本社の編集局長という二人の新聞人の生き方を通してジャーナリズムのあり方を問う。戦争とは何か?取材対象者から木村が問い返される場面も。
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